「中国製造2025」中国が米国に人権侵害を訴えるパラドックス~HUAWEI禁止の世界情勢その2

2018年12月7日記

一気に動きが出てきた感がありますね。

去る5日にHUAWEI Mate20Proの開封動画と、中国製端末に関する私なりの所感を書いたブログ記事をアップしたわけですが、

www.hyzuki.com

昨日、まぁ一概に「昨日」と言っても色々な事があって、もっと前のような気もしますが、日付で言うと6日にHUAWEIを取り巻く環境が一気に動き始めました。

・HUAWEIの副会長がカナダで逮捕される(米国の要請による)。

・容疑は米国の対イラン貿易制裁に違反した疑い。

・米国当局が身柄の引き渡しを求める。

・中国外務省はカナダとアメリカに直ちに釈放を要求する。

・エリクソン製交換機のソフトウァア異常から世界規模での通信障害が起こる。

・日経平均株価は急落し、下げ幅は一時600円超。

以下本日の報道

・逮捕された副会長はHSBC口座で違法な金融取引をしていたと報道される。

・カナダは当局による適切な決断によるもので、政治的な関与や介入はないと発表。

・日本政府がHUAWEIとZTEの製品を政府調達から排除する方針を固める。

 

まだまだ大きな動きが続きそうですが、こんなところが昨日から今朝方にかけて起こったり、報道された事です。

※エリクソンの凡ミスによる通信障害(日本ではソフトバンク回線)は関係ないじゃん、という気もしますがなんとなく示唆的な出来事のような気がしたので並列に挙げてみました。後述します。

 

12月2日の米中首脳会談で、中国が大幅な譲歩をすることで合意に達し「中国が知的財産権侵害等を解決する」という条件付きながら、米国が「追加関税の発動猶予」を決定した裏での出来事ですので、米国の本気というか時間稼ぎを許さぬ姿勢が感じられます。

そして、日本政府も調達排除の方針を固めたわけですが、まぁ日本にとって同盟国と言えば米国しかないわけで、当然の帰結でしょう。

この辺りが、前回のブログで「私が中国勢通信機器をお勧めしない」とした理由「極度に政治化してしまっている」という状況です。

 

米国が安全保障上のリスクがある企業として警戒しているのは、HUAWEI、ZTE、ハイクビジョン、ダーファ・テクノロジー、ハイテラの5社になりますが、これらの企業はいずれも中国が掲げる「中国製造2025」の中核企業です。

中国はこの「中国製造2025」の中で、次世代通信規格「5G」のカギを握る移動通信システム分野のシェア目標を、中国市場で80%、世界市場で40%と掲げています。

▽中国製造2025については以下のリンクでご確認ください

www.keyence.co.jp

www.nikkei.com

 

これらに対し、米国はNDAA2019(2019年度米国防権限法)を今年8月に可決し、上記中国企業5社への締め付けを強化しました。

2019年8月13日以降、政府機関や米軍、政府所有企業がサーバーなどで5社の製品や部品を組み込んだ他社製品の調達を禁止し、2020年8月13日以降は5社の製品を社内で利用しているだけで、いかなる取引も米政府機関とはできなくなります。

これぞアメリカ様!という法律ですが、HUAWEIは米クアルコムから18億ドル、米インテルからは7億ドルに達する半導体輸入をしていて、TDKや村田製作所など日本の電子部品メーカーもHUAWEIをはじめとする中国スマホメーカー各社に部品を供給しており「嫌な奴らを締め出せば丸く収まる」というわけにもいかず、昨日は大きな株価の下落となってマーケットが反応した格好になりました。(あくまで私の見立ですが)

 

そして、昨日のもう一方の主役と言ってもいい「ソフトバンク」は基地局としてHUAWEIを採用していたので、一番株価に影響が出ています。通信障害もその関連では?と訝しがられた所以です。

 

というとで、今回はタイムリーに起こった出来事から、その背景を見てきました。

次回は我々「一般消費者」にどのような影響が出てくるのかを考えたいと思います。

 

▽次回予告 

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では、また!

 

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