不死鳥はまた蘇る

2018年5月24日記

日大関係者として思うことを綴ります。

本件、アメフト悪質タックル問題に関し、日本大学は首尾一貫ぶれていません。

これまでの言動にぶれはあるかもしれませんが、最終的な結論はぶれていません。

 

日本大学といっても、様々な学部があり、本件について日本大学本部を指すのかその直属の保健体育審議会を指すのか、昨日の会見で有名になった広報部を指すのか、様々な見方もあろうかと思いますが、ここは十把一絡げに「日本大学」とします。

それで問題ないと思うからです。

 

本件について、日本大学が想定するゴール(結末)は、

5月9日に関東学生アメリカンフットボール連盟理事会が

「乱暴行為を行った選手を追加処分決定まで対外試合禁止」

「日本大学指導者を厳重注意」

「連盟理事会内に本件に関する規律委員会を設置する」

という3件を決定してから一貫しています。

それは、

「内田正人監督を守る」

ということです。

 

日本大学の平成29年度の収入は2548億円。売り上げという規模観で見れば、日本マクドナルドホールディングス、青山商事、三井ホーム、福山通運、スクウェア・エニックス・ホールディングス等の企業と同規模となります。

内田正人前監督は常任理事なので、一般企業で言うならば東証一部企業の人事部長を兼ねる「副社長・常務」の実質ナンバー2クラスでしょう。

この内田前監督が、日本大学の社長とも言うべき田中理事長の側近中の側近だとか、その田中理事長がかつて何度か大物ヤクザとの交際について週刊誌や海外サイトに掲載されているとか、読売新聞が建設会社から理事長への資金提供疑惑を報じていたりとか、とにかく理事長は真っ黒に近いグレーであるようですが、これらはすべて私が確認したことではないので、捨ておきます。

 

組織の力学でいえば、側近を切ってしまうと反主流派に口実を与え、ナンバーワンにまで影響が及び、反主流派を勢いづけてしまうから切るに切れないのだとも考えられますが、どんな理由があるにせよ、日本大学が5月10日に公式ウェブサイトに謝罪文を掲示してから、一貫してこのナンバーツーを守るべく、それのみに焦点を当てた言動および行動を取っています。

 

それはそれは見苦しいものです。

 

少なくとも私の眼にはそう映ります。

 

私は昨今の社会の風潮として感じる

「ひとつの間違い、ひとりの間違いを社会全体が寄ってたかって袋叩きにする」

という状況が嫌いです。

誰でも間違うと思うし、故意か過失か不正を働いてしまうこともあるはずです。

そうやって間違ってしまった人をどのように更正させるか、その人の復活を支援するか。それを社会全体で考えることが、その社会全体の風通しの良さや、健全性につながると思っていますが、間違ってしまった人を見つけては、その上に立ちマウントを取って、高らかに自己の正しさを訴えることが現在社会のエクスタシーのようです。

 

では、今回はどうか。

感情的にならず、自己の偏った正義感に寄らず、物事を冷静に見て一言・・・

 

 

 

 

 

お前らクソだな。

 

 

 

悪質タックルの実行犯である選手には同情します。社畜属性のある自分に置き換えると、その組織内で生き残るため、私も彼と同様にトップの言うことに従ったはずです。

つまり同じことをしたことでしょう。そして私であれば、控室なのか、テントの中なのか知らねども、自分の仕出かしたことに後悔で泣く事もなく「自分の立場が保たれた」と、唯々ほっと胸を撫でおろし、問題が大事になったとしても彼ほど潔く社会の真面手に立ち、自分の弱さを謝罪することもできなかったと思います。

同情を集め情状酌量と責任転嫁を狙う弁護士の戦略(テクニック)を理解したとしても、社会からの制裁という恐怖の方が先に立ってしまい、何もできずに病院の布団に潜り込んだことでしょう。

 

もちろんだからと言って~どんな立派な姿勢で会見し、自分自身の弱さを認めたからと言って~起こした問題がチャラになることはありません。ただ、復活するための切符は手に入れることは出来たのだと思います。

私には最近「子供を守る」という視点が加わりました。子供が出来たからですが、すべての事象にこの視点が絡んできます。実行犯選手(敢えてそう呼称します)の父親に身を置き換えてみれば、どんな手をつかっても子供を守ろうとするでしょう。

 

 

子供を守ろうとする父親

ナンバー2を守ろうとする組織の戦い

 

実行犯選手の言い分がその通りなのであれば、この日本大学が守ろうとしている内田前監督はカルト集団を作り上げた首領ということになります。

60歳を超えた分別がつくおっちゃんなのだから、教育者なのだから、そんなことは無いだろうと思う人がいるかもしれません。

双方の言い分がほぼ真向から食い違っている以上、これは捜査の進展を待つしかありませんが、捜査される環境にあることが唯一この問題の救いなのでしょう。

 

しかし、感情論を度外視しても日本大学という組織がとっている言動や行動は論外で見苦しいものですす。

 

何故、論外で見苦しいものになってしまうのか。

それは、ゴール地点を間違えているから。

 

関東学生アメリカンフットボール連盟理事会が9日に問題提起した時点で、

「組織として内田監督を守る」というゴールではなく、

「教育現場として真実を真摯に解明する」というゴール、着地点を定めていたなら、本件はもっと迅速に、そしてもっと穏やかな形で収束に向かっていたことでしょう。

結果として、内田監督の辞任程度で済んだかもしれない。

それが根本的な解決になるかならないかは別として。

 

昨日急遽開いた会見が、ゴール地点を修正するそのラストチャンスとも言えました。

しかし、あろうことか日本大学は当初設定したゴールに更に固執しました。

ここまで頑なということは、監督とコーチは本当に何の指示もしていないのかも・・・

 

んなわけない。

 

企業を運営する身としては、このような不祥事を一つの教材として見る癖があります。被害にあった学生さんには申し訳ないですが、真に生きた教材です。

 

もし、トラブルを起こしてしまったら。それが故意なのか過失なのか関わらず真実を述べること。これがピンチをチャンスに変える唯一の方法と思ってやってきましたが、おそらく今回もそれが実証されることでしょう。

 

そして、日本大学に籍を置く学生さんとフェニックス部員の皆さん。

貴方たちを、腫れ物にでも触るように、また白い目で見る大人もいるかもしれませんが、そういう人は「内田監督を守ろうとした日大にいる組織人たち」と同じで、しばらくすれば消えてなくなります。

 

不安や、不満も多いと思いますが、まず声を上げ、自分の信じる道を進んでください。

 

そこに誠意があれば、フェニックスはまた蘇るはずです。

 

 

 

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