2018年11月21日記
YouTubeを広告なしで視聴できる「有料プラン」が日本でもスタートしました。
現在3カ月間無料で試すことが出来ますが、詳細については以下のengadgetさんの記事にてご確認ください。
私にとってYouTubeの立ち位置はもっぱら投稿側であり、視聴についてはほとんどしないので(苦笑)、この機能はあまり関係のないと感じていて、まだ試してもいないのですが、YouTube投稿者、所謂YouTuberの間では、この機能により「広告収入がどうなるのか」が話題のようです。
▽言わずと知れたTOPYouTuberのヒカキンさんも動画で触れています。
ヒカキンさんの動画を見るまでもなく、
「有料プランの資金から投稿者に収益が分配される」
これは、誰でもわかることで、肝心なのは果たしてそれが動画投稿者にとってこれまで以上の旨味つまりメリット・増収につながるのか、それともデメリット・減収になるのかどうかです。
以下の記事によるとYouTubeの広告マーケット規模は現在300億円程度で、広告収益のみに限ると200億円程度だそうです。広告業界全体の市場規模が6兆9千億円とも言われますので、まだまだYouTubeの広告はニッチ分野とも言えます。 jp.techcrunch.com
では、次にこの200億円を仮に全て有料プランで賄おうとするとどれくらいの会員数が必要になるのかを、超ざっくりと計算すると、、、
広告収入200億円÷月額料金1,090円(税抜)≒18,248,600人
1,800万人、、、なんかいけそうな気がする~(あると思います!)
ただ、この月額料金税抜1,090円にはYouTubeMusicも含まれているので、ざっくり動画の広告収益として分配出来るのは半分程度。さらにYouTube自体の取り分を考えると実際の分配比率は1有料アカウント当たり400円前後と言ったところでしょうか。
この金額で計算し直すと、、、200億円÷400円(税抜)≒5,000万人。
全世界で15億人を超える月間視聴者数を誇るYouTubeですが、日本市場に限ればこの5,000万人(アカウント)という数字は、凡そ国民2人に1人という計算になるので、実質的には不可能な数字だと感じます。
しかも、動画広告市場自体はますます成長が見込めるのに、あえて月額固定にしてしまうのは、その成長性を考えるとMOTTAINAI。経営者視点ではありえない判断です。
しかし、そこにコンペティターという視点をいれるとまた違った見方ができます。
YouTubeは動画投稿者とその視聴者と広告主を上手に結び付けたトライアングル型ビジネスモデルで、自らコンテンツを作り出しているわけではないという点で(恐らく)唯一無二でしょう。
ただ、音楽のサブスクリプション型でいえばSpotifyが大きく先行しており、コンテンツ動画のサブスクリプション型という点では、アマゾンプライムやNetflix等に先行されています。
YouTubeという媒体を単なる広告収入媒体で終わらせず、上記2つの分野でも大きなシェアを獲得していくための動力源にしたい。一連の有料化にはGoogleのそんな野望が見え隠れします。
野望と書くと聞こえが悪いかもしれませんが、これは企業にとっては当然取るべき戦略の一つです。
今有効な経営資源が何かを考え、それを元手に更に売上を最適化及び利益を最大化していく。これこそ経営手腕です。
そこには常に変化が生まれます。そしてその変化に気が付けず、付いていけなくなった企業や人が退場を迫られる。これは資本主義、市場原理が働く前から存在する、大きく言えば人間界に働く原理のようなものだと思います。
さて、話が大きくなったので元に戻すと、
①今後右肩上がりとされるYouTube上の広告収入を、月額1,000円程度で広告なしにするのには割が合わない(Musicと合わせて少なくとも月額3,000円程度必要)。
※もちろん全視聴者が有料プランを契約することはありませんが、ヘビーユーザーつまり広告をいっぱい見てくれる人ほど有料契約するはずです。
②但し、今後、音楽・映像というサブスクリプション方式の配信業界で主導権を奪取するためには有効な戦略。
以上から、今回の有料化(世界的な潮流で、日本は後発になりますが)は、Googleのチャレンジングな布石というべきものだと思います。言い方を替えれば、動画広告の規模拡大を含めた大きな過渡期に突入したということです。
そう、世界一のベンチャー企業であるGoogleは、常にチャレンジングであり、そして「こりゃあかんは」と思ったらさっさと捨て去る、大企業としての強かさと、ベンチャーとしての割り切りの良さを持ち合わせていると感じます。
惰性で事業を継続してしまうどこぞの国の企業とはえらい違いです。
サブスクリプション型、つまり今回の月額有料会員制があまり機能しない、Google全体の売り上げの最適化に寄与しないようであれば、一気に値上げ、あるいは廃止にすることも厭わないはずです。
では、本題。投稿者にとってのメリット・デメリットという点ですが、今回の有料会員制により、二極化が進むと考えます。
至極当然なことを書きますが、運営側つまりYouTubeにとって大切なパートナーは、①広告主、②優良コンテンツを配信する投稿者、③視聴者です。
そして、広告主と優良投稿者は大きければ大きいほどありがたい。投稿者という視点でみれば、1動画当りの再生数が大きい或いはチャンネル全体の再生数が高い、インフルエンサーこそ大事なパートナーです。
これから行われる有料会員から徴収した月額料金分配でも1再生(時間)=単価円を基準に分配されることになると思いますが、原資のパイが限られる以上、上限下限を設ける必要が出てきます。
※そういえば3カ月間の無料期間分はどうするんでしょうかね。
そしてその設定、分配比率は大切なパートナー・投稿者になるほど手厚くなり、まぁそうでもないw 投稿者ほど疎かにされるはずです。
ただ、常に新規、つまり新たな人気投稿者を生み出していかなければ、YouTube自体がオワコン化になってしまうので、その辺りは大手事務所などとタッグを組んで補完し育成するのでしょう。
つまり、今回の視聴有料化制度導入が、今年2月にスタートした収益化足切りに似た次の大きな変革として、いずれ投稿者側に波及してくるはずです。
肌感としてはチャンネル登録者10万人&月間視聴回数100万回程度、つまり現状でもYouTuberとして食べていけているのかがひとつのボーダーラインになると考えます。
上記基準を満たさない投稿者については、収入が無くなることはないと思いますが、減収になる可能性が高いのではないでしょうか。
と、経営者の視点から今回のYouTube有料化制導入が投稿者にどのような影響を及ぼすかを考えてみました。
あくまで私の勝手な妄想と言っても過言ないので、「ほーん」程度のお読み頂けると幸甚です。
ただ、変化というのは必ず、そして時に突然やってきますので、それが投稿側であれ、視聴側であれ、常に頭の片隅に入れておく必要があるのだと思います。
では、また!
▽チャンネル登録もオニャシャス
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